水産資源の持続的な利用を目指す資源管理型漁業の推進 漁業者の自主的な取り組み |
我が国の漁業者の漁獲量は、ピークだった昭和60年代の1200万トンから年々減少し、平成7年には約750万トンにとどまっています。 その原因の一つとしては、他国の海域での漁業操業が、いろいろな制約を受けるようになったこともありますが、獲り過ぎによる場合も少なくないと指摘されています。 魚など海の生き物は、必要な親の数がいれば、自然に産卵して、次世代をつくり、増えていくという再生産が可能です。再生産と漁獲のバランスをとって適切に管理していくことにより、水産資源をいつまでも漁業の対象として利用し続けることが大切です。 1996年7月20日(海の日)から、「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約が我が国にも発効し、この条約に基づいて、我が国周辺の200海里内に「排他的経済水域」が設定されました。その結果、この水域では、海洋資源の活用について優先的な権利を持つことになりましたが、同時にその管理と保護の義務を負うことになったのです。 漁業に関しては、「漁獲可能量」(Total Allowable Catch=TAC)といって漁獲できる総量を定めて、海の水産資源を一定の水準に保ちながら、永続的に利用していくことを目指しています。 このような国際的な資源管理の動きとは別に、神奈川県では早くから漁業者が自主的に資源を適正に管理しながら漁獲する漁業に取り組んできました。例えば、東京湾のしゃこは、「江戸前のもの」として有名ですが、その資源を保護するため、2日操業すると1日休漁する「2操1休」制度をつくり、漁獲を制限していくと同時に出荷量を適正に保つことで、市場価格の安定を目指しているのです。 しかも、稚魚は獲れないように網の目を大きくするルールも作り、成果を上げています。 このほか、まだいやきんめだい、ひらめでも資源管理に取り組んで、小型魚を保護したり、漁具の制限なども実施しています。さらに、遊漁船関係者との間で出船や切り上げの時間、釣り針の数などの取り決めを行うなど資源保護に前向きに取り組んでいます。そして、釣りを楽しむ一般の人々へも、小型魚は逃がす「キャッチ・アンド・リリース」を呼び掛けるなどの運動も行っています。 将来、食糧供給の逼迫が予想される中で、漁業の果たす役割の重要性について内外の認識が深まっていますが、これからも漁業生産の維持・発展に向けて、的確な資源管理や「つくり育てる」漁業の一層の推進が必要となっています。 |